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【CEOブログ】『バートルビー』の物語 「できればしたくないです」と言った人 #006

仕事・訓練

こんにちは。

#あらゆる個性を強みに変える

就労移行支援事業所ライラ代表の吉田です。

アメリカ文学に登場する有名な言葉で、 ”I would prefer not to.” があります。これは1853年にハーマン・メルヴィルが発表した短編小説『バートルビー』の中に出てくる言葉です。

今回は、『バートルビー』について少し書いてみたいと思います。

【1】あらすじ

ここでは『バートルビー』の内容をご紹介するので、ネタバレを含みます。結末まで含めて話自体が有名な文学作品なので、ネタバレの影響はそこまでないかもしれませんが、ネタバレを避けたい方は物語を読んでからまたこの記事に戻ってきていただけたらと思います!

時代は1850年代です。今から170年前になります。場所はアメリカ・ニューヨークのウォール街。そこに法律事務所を構える主人公(物語の語り手)が、助手として、真面目そうなバートルビー青年を雇うとこから全てが始まります。

ハートルビー青年の法律事務所での仕事は大きく2つあり、1つは「筆写」と呼ばれる文章の書き写し(コピー機もない時代ですから、書類の複製は手書きで行われます)、そして2つ目は筆写した書類に間違いがないかの「文章チェック」になります。

真面目に仕事に取り組むバートルビー青年ですが、業務開始から数日経ったとき、主人公が「文章チェック」の仕事を依頼すると、バートルビーは次のように述べます。

I would prefer not to.

この言葉は様々な訳し方をされますが、私(吉田)は、「できればしたくないです」と訳しています。そう、バートルビーは、上司からの指示に対して「できればしたくないです」と言って断ってしまいます。しかも上司の指示は決して特殊なものではなく、当初から想定された2つの業務の内の1つであるのにも関わらず。

不思議に思った主人公ですが、その日以降、バートルビーは「文章チェック」の仕事を「できればしたくないです」と言って断り続けるのです。そうすると、その分の皺寄せは他の助手にいきますので、他の助手たちは当然に憤慨します。

そこから更に日は経ち、バートルビーは今度は「筆写」の仕事に対しても「できればしたくないです」と述べ、断ってしまうのです。「文章チェック」もやらず、「筆写」もやらず、やるべき仕事を何もしなくなってしまうのです。ただ毎日出社して、席に座っているだけです。(実はその後、バートルビーは法律事務所に住みついて、「通勤すること」もやめてしまったことが判明します!)

さすがに、何を言っても「できればしたくないです」しか言わないバートルビーを雇い続けることはできず(特に他の助手たちもいる手前)、ついには解雇を宣告されます。ところが解雇に対しても「できればしたくないです」と言い、法律事務所を去るのを断ります。そこで主人公は法律事務所ごと、移転してしまいます。誰もいなくなった建物に一人残ったバートルビーは、建物の大家から「なぜ一人で建物に残っているのか?出て行ってくれ」と言われますが、それに対しても一言、「できればしたくないです」。困り果てた大家は警察を呼び、バートルビーは投獄されます。

バートルビーが投獄されたことを知った主人公は気になって、監獄までバートルビーのことを見に行きます。そうすると、そこで目にしたのは「食べること」も一切拒否して、「できればしたくないです」を貫き通すバートルビーでありました。最終的にバートルビーは、それが原因で監獄の中で亡くなります。

【2】考察

以上が、全ての物事に対して「できればしたくないです」を徹底したバートルビーの物語です。バートルビーは法律事務所に就職する前は、配達不能郵便(送り先、差出人に不備があって行き場をなくした郵便物)を処理する仕事をしていたと書かれていますが、なぜバートルビー青年が「できればしたくないです」と考えたのかに対する明確な説明はありません。

そして説明がないからこそ、今日に至るまで、様々な人が数多くの考察を重ねてきました。インターネットで「バートルビー / 考察」と検索していただければ、色々な意見に触れることができるでしょう。

何が本当の解釈なのかは今となっては誰にも分かりませんが、説の中には「共感扇動に対する批判」、「人間の傲慢さの象徴」といったものがあります。この物語を読むと、我々は「なぜバートルビーは”できればしたくない”と言い続けたのだろう?」と考えますが、考えれば分かることなのでしょうか。本来、我々は他人が何を考えているのか本質的には捉えることができません。それにも関わらず、「他人の考えが分かるかもしれない」、「他人が何を考えているのか知りたい」と思うこと自体、傲慢なのではないか、ということです。

またバートルビーに対する別の解釈として、「変化に対する拒絶」があります。配達不能郵便は、当時は無条件で焼却されていたと考えられています。バートルビーは配達不能郵便の処理をしていた頃、次々と運ばれてくる配達不能郵便をただ焼却するだけの単純業務に従事していました。その後、法律事務所では筆写するだけの単純業務が中心となります。ただそれ以外の応用的な業務を拒否し、退職することを拒否し、(法律事務所が入っていた建物から)移動することを拒否し、ありとあらゆる変化を拒絶します。

バートルビーを見ると「極端だな」と思うかもしれませんが、「変化を嫌がる気持ち」は多かれ少なかれ全ての人が抱いたことのある感情と思います。

【3】あらゆる個性を強みに変える

就労移行支援事業所ライラには、『あらゆる個性を強みに変える』という考え方があります。我々は皆、十人十色、それぞれに異なる訳ですが、それぞれに強みや魅力を持っています。全ての人がしっかりと自分の強みを発揮できるようお手伝いしたい、このような気持ちが込められています。

但し、ライラが掲げる『あらゆる個性を強みに変える』は、「ライラは皆さんのことを理解できます」と上から目線で言うものではありません。バートルビーの考察にも、「相手のことを理解できると思うこと自体が傲慢である」という発想があります。ライラは純粋に利用者の社会での活躍を願っているものであり、その過程では理解できること、理解できないこと、色々あると思います。それでも最後まで利用者に寄り添っていく、そんな事業所でありたいとライラは考えます。

就労移行支援事業所ライラでは、就労を希望する障害を持つ方々への訓練・就職支援・就職後サポートを実施しています。「ライラはどんなところなんだろう?」「ライラと共に歩んでみたい」など、少しでも興味を持っていただけましたら、是非一度遊びにいらしてください!

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